外国人社員を迎えた職場で。教え方・相談体制と一時帰国
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こんな方へ外国人社員を迎え、現場の指導や相談・帰国対応を担当する企業の方へ
外国籍の社員を迎え、採用や在留手続きが済んだ。けれど、実際の職場では「説明したつもりが伝わっていない」「誰が生活の相談に乗るのか決まっていない」といった課題が出てくることもあります。
この記事では、働き始めてからの環境と、受け入れ企業が公表した実例を扱います。本人に慣れてもらうだけでなく、会社の教え方や役割分担も見直すことが出発点です。
この記事のポイント
- 指示や安全教育は、伝えた量より、本人が理解して実行できるかを確認する。
- 公表事例の工夫を参考に、仕事の指導・生活相談・在留手続きの担当を整理する。
- 一時帰国は一律の義務と考えず、制度、休暇、復帰、再入国の条件を分けて確認する。
この記事の目次
「分かりました」の返事だけで、教え終わりにしない
経験のある方でも、会社ごとの呼び方、略語、機械の扱い、報告の順序まで同じとは限りません。口頭で一度説明し、返事があったことだけで、仕事を任せられると判断しないようにします。
例えば「いつものように片付けて」より、「この道具を洗い、乾いたら青い棚へ戻してください」と、動作と場所を具体化します。そのうえで一緒にやってみる、本人に次の手順を説明してもらうなどして、伝わり方を確かめます。これは編集部による説明例です。
安全に関わる作業は、本人の経験や日本語力への印象だけで済ませられません。雇入れ時等の安全衛生教育を適切に行い、理解できる言葉、図、実演などを使って確認します。現在の外国人雇用管理指針にも、理解できる方法による教育等が示されています。外国人雇用管理指針
説明が長すぎる、担当者ごとに手順が違う、質問すると作業を止めたように受け取られる。こうした教える側の事情も、見直す対象にしましょう。
受け入れ企業は、働いてもらう中で何を見直した?
厚生労働省の「外国人材受入れ事例集」(2026年3月)には、企業側が受け入れ後の課題や工夫を語った例があります。以下は同資料の掲載時点の報告で、当サイトの取材や実績ではありません。外国人材受入れ事例集
配属を急がず、教える場を整えた例
建物管理等を行う株式会社エイドは、現場が安定せず早期退職が続いた時期を振り返っています。掲載時点では、モデル現場で研修し、習熟後に他の現場へ配属する運用を紹介しています。同資料の冊子4頁の事例です。
ここから自社で考えたいのは、初日から一人で判断する持ち場へ配属していないか、誰が何を教えるか、独り立ちの目安を共有しているか、という点です。特定の研修期間を、どの業種にも共通する正解とするものではありません。
仕事の言語と、暮らしの困りごとを分けて支えた例
設計・開発を行うザマ・ジャパン株式会社は、日英併記の社内メール等とともに、住居や契約、地域の冬の暮らしに関する案内を紹介しています。同資料の冊子2頁の事例です。
仕事で会話ができることと、生活上の手続きを一人で進められることは別です。本人が何に困っているかを確かめ、会社が案内すること、専門窓口へつなぐことを整理する参考になります。
この2例は、業種も主な在留資格も異なります。工夫を取り入れる際は自社との違いを確かめ、紹介された施策だけで定着が改善すると決めつけないようにします。
教える人・相談を受ける人・手続きを担う人を決める
日本語が得意な先輩社員がいると、通訳から生活相談まで、その人に頼りたくなるかもしれません。ただ、本来の仕事に加えてすべてを担う形では、本人も先輩も困ったときに行き詰まります。
会社の運用として、少なくとも次の役割を整理しておきます。
- 仕事の手順や安全を教え、習熟を確認する担当。
- 勤務時間、給与、休暇、職場の悩みについて相談を受ける担当。
- 在留期限、必要な申請・届出を確認する担当。
- 住居や行政手続きなど、必要な生活情報を案内する担当。
一人が複数の役割を持つ場合も、業務時間を確保し、不在時の代わりを決めます。直属の上司についての悩みを、その上司にしか話せない状態にも注意したいところです。
相談内容を同僚全員へ広げる必要はありません。本人に対応の進め方を伝え、解決に必要な担当者へつなぎます。通訳を頼む場合も、誰にどの情報を共有するのかを確認します。
生活面の支援は、本人の希望と会社の範囲をすり合わせる
住居、通勤、銀行、税金や保険の説明など、入社直後には仕事以外の確認も重なります。既に日本で長く暮らす方と、来日直後の方では必要な案内も違います。国籍や見た目から、困りごとを決めつけないようにします。
社宅があるなら、家賃や光熱費、給与からの控除、利用を終えるときの扱いを説明します。「手取りが思っていた額と違う」という相談なら、給与明細と採用時の条件を一緒に見て、何が差になっているのかを確認します。
特定技能1号では、法令に基づく支援計画の作成と実施が必要です。登録支援機関へ委託する仕組みもありますが、外国人社員全員への支援が同じ制度になるわけではありません。制度上必要な支援と、自社で追加する支援を分けて準備します。特定技能1号の支援計画
食事、服装、宗教上の習慣などの相談も、本人の希望を聞き、仕事の安全や就業上の条件と合わせて調整します。「同じ国の人は皆こうする」という説明で済ませず、実際に必要な対応を話し合います。

ミスや離職の理由を、本人の慣れだけで片付けない
同じ間違いが続くときは、能力や意欲を評価する前に、手順書と実際の指示がそろっているか、用語を理解できているか、質問できる相手がいるかを確かめます。
面談では「困っていませんか」だけでなく、「一人で判断しにくかった作業はありましたか」「説明と違うと感じたことはありますか」など、具体的な場面を聞く方法があります。質問は編集部による実務上の例です。
退職の相談が出た場合も、給与、仕事、教え方、生活、家族、将来の希望など、理由は人によって違います。会社に都合のよい理由を当てはめず、本人の説明を聞きます。その内容から、採用時の説明や配属、研修のどこを改善できるかを振り返ります。
振り返る対象は外国籍の社員だけではありません。教える側の残業、通訳や相談が集中する人の負担も含めて確かめると、受け入れを続けられる体制を考えやすくなります。
一時帰国は必要?制度による帰国と、本人の希望を分ける
外国人の正社員だから、定期的に数か月帰国しなければならない、という一律の決まりはありません。帰国の理由と在留資格・制度を確認し、会社の休暇手続きだけで判断しないことが大切です。
技能実習3号の帰国要件を、一般の正社員へ当てはめない
技能実習2号から3号に進む場合には、3号の開始前、または開始後1年以内に出国する形で、1か月以上の一時帰国が必要です。開始後に帰国する方式は1か月以上1年未満とされます。技能実習の計画に関する要件であり、正社員全員に適用される帰国義務ではありません。
外国人技能実習機構の説明では、3号開始後の一時帰国が3か月を超える場合、再来日は認定証明書・査証を取得する新規入国の手続きとなります。該当する計画は、監理団体等と手続きまで確認します。技能実習3号の一時帰国要件
一方、技能実習から特定技能へは、要件を満たして変更許可を受ければ、帰国せずに移行することも可能です。別の制度の帰国要件をそのまま当てはめないようにします。特定技能制度Q&A・Q29
休暇・復帰の調整と、再入国の確認を並行する
本人が家族の事情や帰省で帰国を希望する場合は、予定日、復帰日、年休・休職等の扱い、賃金、保険、連絡先、代わりの業務分担を整理します。特定技能のQ&Aには、一時帰国を希望する際の必要な有給休暇についての留意点もあります。数か月すべてが当然に有給になると一律に説明せず、適用される制度と本人の希望を確認します。特定技能制度Q&A・Q31
みなし再入国許可の対象者は、有効な旅券と在留カードを所持し、出国時に再入国の意思を示す等の手続きが必要です。原則は出国から1年以内ですが、それより先に在留期限が来る場合は、その期限までです。対象外となる方もいるため、休暇の承認だけで戻って働けると判断しないようにします。特別永住者は原則2年で、扱いが異なります。みなし再入国許可
更新・変更申請中の出国や長期の不在は、出国前に入管へ申請状況と期限を確認します。また、特定技能1号の通常の一時帰国が、通算在留期間を最初から数え直す仕組みではない点にも注意が必要です。長期就業を考える際は、本人の通算在留期間と更新・変更の見通しも一緒に確認します。特定技能制度Q&A・Q51
会社の雇用状況の届出と、本人の入管への届出を混同しない
雇入れ・離職時の外国人雇用状況の届出は、会社がハローワークへ行います。対象者が雇用保険の被保険者かによって方法と期限が異なります。外国人雇用状況の届出
| 対象と場面 | 会社側の届出と期限 |
|---|---|
| 雇用保険の被保険者となる方の雇入れ | 資格取得届に必要事項を記載し、雇入れ月の翌月10日まで。 |
| 雇用保険の被保険者である方の離職 | 資格喪失届に必要事項を記載し、離職日の翌日から起算して10日以内。 |
| 雇用保険の被保険者でない方の雇入れ・離職 | 外国人雇用状況届出書により、該当する月の翌月末日まで。 |
永住者はこの届出の対象で、特別永住者と「外交」「公用」の方は対象外です。雇用保険の取得・喪失届で必要な届出が済む場合もあり、全員に別の外国人用届出を重ねて出す仕組みではありません。
一方、「技術・人文知識・国際業務」など対象の資格の方には、契約の終了や新しい契約の締結等から14日以内に、本人が入管へ行う届出があります。会社がハローワークへ出せば本人分も済む、とは考えないようにします。所属・契約機関に関する届出
健康保険・厚生年金保険も、外国籍であることだけで対象外にはなりません。適用要件を満たす場合の資格取得等を確認します。特定技能等に固有の受け入れ企業側の届出もあるため、この表だけを全手続きの一覧にはしないでください。外国人雇用時の社会保険手続き
現場で見直したいことと、長く働くための準備
- 教えた内容を、本人が理解して実行できるか確かめている。
- 指導・相談・手続きの担当と、不在時の対応を決めている。
- 会社が行う生活支援と、必要な専門窓口を整理している。
- 本人の困りごとと、支援する社員の負担を両方聞いている。
- 帰国時は休暇・復帰と、再入国・在留期限を分けて確認している。
- 会社と本人それぞれの届出・期限を確認している。
長く働く中での役割や待遇の変化、本人の将来の希望、今後の制度の見通しは、外国人社員と長く働くには。役割・待遇の変化とこれからの備えで整理しています。新人として迎えた方が、教える側やリーダーになっていくときの準備も確認してください。
※資料は2026年10月30日に確認しました。企業の事例は資料掲載時点の報告です。説明・面談の例や社内の役割分担は編集部による実務上の提案で、一律の法定手順ではありません。個別の在留・帰国手続きは入管等へ、雇用・保険の手続きは各窓口へ確認してください。
出典・確認した公的情報
編集:シャイニー / 制度の確認: