外国人を正社員として迎えるまで。在留資格の確認から採用・登用へ

テーブルを囲み、書類を見ながら話す4人

こんな方へ外国人の正社員採用を検討する企業、初めて採用や入社手続きを担当する方へ

外国籍の方を正社員として採用したい。いま働いている契約社員やアルバイトにも、正社員として活躍してもらいたい。そのとき、会社は何から準備すればよいのでしょうか。

外国人を正社員として雇うことは法律上可能です。ただし、正社員という雇用上の区分と、日本で行える活動を定める在留資格は別です。本人の資格と任せる仕事が合っているか、必要な許可を得ているかを確かめて進めます。

この記事のポイント

  • 正社員採用、社内の正社員登用、無期転換、在留資格の変更を分けて考える。
  • 任せる仕事を具体化し、本人の在留資格と照らし合わせて採用の手順を組む。
  • 条件の合意と必要な許可を確認し、正社員として働き始める日を調整する。
この記事の目次
  1. 正社員採用・社内登用・無期転換は、それぞれ別の確認
  2. どんな在留資格なら、正社員として働ける?
  3. まず仕事を具体化し、在留カード等と照らし合わせる
  4. 国内の転職・留学生・海外採用では、勤務開始までの道筋が違う
  5. いま働く方を正社員に登用するときは、変更後の仕事・時間を確認する
  6. 条件を合意し、必要な許可を確かめてから勤務を始める
  7. シャイニーの視点
  8. 正社員として迎える前の確認

正社員採用・社内登用・無期転換は、それぞれ別の確認

最初から正社員として募集・採用する方法も、既に雇用している方を社内制度で正社員に登用する方法もあります。「外国人はまずアルバイトを経なければ正社員になれない」という一律の順序はありません。

一方、有期契約から期間の定めのない契約に変わる「無期転換」は、正社員登用と同じ意味ではありません。無期転換だけで、正社員という社内区分や待遇へ自動的に変わるわけではありません。会社の登用制度と、法律上の無期転換の扱いを分けて確認します。厚生労働省の無期転換と正社員転換の説明

また、正社員に登用されたからといって、在留資格が自動的に変わったり、永住者になったりすることもありません。就労できる活動の範囲や在留期間は、雇用契約とは別に確認が必要です。

どんな在留資格なら、正社員として働ける?

入口の確認に使う表です。資格名だけで採用を決めず、実際の業務、本人と企業の要件、必要な手続きを照らし合わせます。厚生労働省の事業主向け資料

在留資格の例採用・登用前に見る点
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者在留資格による就労活動の制限はない。カード等の記載を確認し、カードの有効期限と在留期間は区別する。
技術・人文知識・国際業務、介護、技能など認められた活動に合う仕事なら正社員採用の対象となる。資格ごとの専門性や本人の要件も確認する。
特定技能対象分野・業務、本人と企業の要件を満たし、必要な許可を受けて雇用する。1号の支援計画等も確認する。
留学、家族滞在原則として、その資格のまま通常のフルタイムの正社員勤務はできない。就労できる資格への変更が必要になる。
特定活動指定内容によって就労の可否・範囲が異なる。カードの資格名だけで判断せず、指定書を確認する。
技能実習認定された計画に基づく実習のための資格。一般の正社員求人へ自由に採用・配属できる資格ではない。
短期滞在観光等の短期滞在のまま、通常の有給の正社員勤務を始めることはできない。

「技術・人文知識・国際業務」などは、どの会社でも、どんな仕事でもできる資格ではありません。「海外担当」といった肩書だけでなく、実際に担当する業務と本人の学歴・職歴等を確認します。判断しにくい業務の組み合わせは、地方出入国在留管理局等へ具体的な内容を示して相談します。出入国在留管理庁の申請案内

特定技能1号では、受け入れ企業による支援計画の作成・実施が必要です。登録支援機関へ委託する仕組みもあるため、支援を担える体制や費用を採用前に検討します。特定技能の支援計画

まず仕事を具体化し、在留カード等と照らし合わせる

募集前に、主な業務、配属先、勤務地、勤務時間、給与を整理します。同じ会社でも、設計、通訳、製造ライン、接客では仕事内容が異なります。「入社してから何でも頼む」という前提では、資格との適合を確かめられません。

応募者の経験・能力を選考するとともに、在留カードや旅券等で就労できる範囲を確認します。カードは表面の在留資格・在留期間・就労制限に加え、裏面の資格外活動許可等も見ます。特定技能や特定活動では指定書も確認します。事業主向けの確認事項

現在の外国人雇用管理指針では、本人の同意を得て在留カード等読取アプリケーションで読み取り、券面の情報と照合することが適切とされています。読み取れたことだけで、予定の業務に就けると判断するものではありません。外国人雇用管理指針・2026年10月適用版

社内では「任せる業務・確認した資格と資料・必要な申請・確認する担当者」を整理しておくと進めやすくなります。これは実務上の管理例です。在留期間の満了が近い方や更新申請中の方は、申請状況も含めて就労可否を確認します。

国内の転職・留学生・海外採用では、勤務開始までの道筋が違う

国内で既に働いている方を採用する場合

転職先の仕事が、現在の在留資格で認められる活動かを確認します。就労資格証明書は本人が希望して申請でき、新しい業務で働けるかを確認する手段になりますが、全員が必ず取得する書類ではありません。就労資格証明書の案内

特定技能では、受け入れ機関や分野を変更する場合に在留資格変更許可申請が必要です。転職者の手続きをすべて同じ扱いにしないようにします。特定技能制度Q&A

留学生など、就労できる資格への変更が必要な場合

留学生を卒業後に正社員として迎える場合は、就労できる資格の要件を満たし、変更許可を受けてからその資格での仕事を始めます。資格外活動許可による原則週28時間以内のアルバイトと、卒業後のフルタイム勤務は別です。家族滞在等の方も、予定の働き方に必要な資格の要件から確認します。外国人雇用管理指針

海外から呼び寄せる場合・短期滞在中に採用する場合

海外から新たに呼び寄せる場合は、原則として在留資格認定証明書を取得し、本人が居住する国・地域を管轄する日本の在外公館で査証を申請する流れです。内定、認定証明書、査証、入国時の許可は、それぞれ段階が異なります。外務省の就労・長期滞在の案内

短期滞在中に採用が決まっても、そのまま働き始めることはできません。短期滞在からの資格変更には真にやむを得ない特別な事情が必要とされるため、通常は帰国して査証等の手続きを進めます。国内の転職と同じ日程を前提にしないようにします。在フィリピン日本国大使館のQ&A

会社が準備する資料も、最新の申請区分で確認する

必要書類は、資格、企業の区分、認定・変更等の申請によって変わります。例えば「技術・人文知識・国際業務」では、2026年4月15日以降、カテゴリー3・4の追加資料や、主に言語能力を用いる対人業務等でのB2相当の言語能力資料が案内されています。対象や確認方法を調べず「外国人社員は全員N2が必要」と一般化せず、該当する申請の最新チェックシートを使います。技術・人文知識・国際業務の申請案内

いま働く方を正社員に登用するときは、変更後の仕事・時間を確認する

社内登用でも、現在アルバイトとして働けていることだけで、正社員の勤務条件まで認められるとは限りません。留学の資格外活動許可で働く方を、そのまま通常のフルタイム勤務にすることはできません。

現在の雇用形態だけでなく、登用後の仕事、勤務時間、配属、責任の範囲を本人と確認し、在留資格の変更等が必要かを判断します。既に適合する就労資格を持つ方も、登用に伴って業務が変わるなら確認をやり直します。

登用の条件や選考方法も説明します。「正社員登用あり」という案内だけで終えず、本人の希望を聞き、応募の時期、判断する項目、登用後の給与・役割を伝えることが実務上の準備になります。日本語力を判断する場合も、仕事で何ができる必要があるのかを具体化しましょう。

技能実習から特定技能への移行を検討する場合は、社内の呼び名を変えるだけでは済みません。試験や修了要件、企業の受け入れ条件等を確認し、必要な変更許可を受けます。入管庁のQ&Aでは、要件を満たせば帰国せず移行することも可能とされており、全員が一度帰国しなければならないわけではありません。特定技能制度Q&A・Q29

工場の機械のそばでタブレットを確認する作業服姿の男性
正社員への登用前に、実際に任せる仕事と勤務条件を確認します(イメージ写真)。

条件を合意し、必要な許可を確かめてから勤務を始める

外国人にも労働関係法令が適用されます。国籍を理由に賃金・労働時間等を差別的に扱うことはできず、最低賃金や残業代等も対象です。外国人労働者の労働条件

労働契約を結ぶ際は、主要な労働条件を法令に沿って書面等で明示します。そのうえで母国語や平易な日本語など、本人が理解できる方法で説明します。特に、額面と控除後の見込み、社宅の費用、業務や勤務地の変更の範囲は、認識がそろっているか確かめたい点です。これは説明の実務例で、法定明示事項の全一覧ではありません。外国人雇用管理指針

実務の流れは「仕事と就労可否の確認→条件・開始予定日の調整→必要な申請→許可と就労範囲の確認→勤務開始」を基本に組みます。内定、契約、申請の提出だけでは就労許可になりません。審査に要する日数を決めつけず、許可が間に合わない場合の入社日や登用日の調整方法も事前に話しておきます。

また、「技術・人文知識・国際業務」など対象となる資格の方は、契約の終了や新たな契約の締結等から14日以内に、本人が入管へ届け出る必要があります。勤務開始日からだけ数えるものではありません。会社のハローワークへの届出とは別なので、契約時から本人に案内します。所属・契約機関に関する届出

正社員として迎える前の確認

  • 採用・登用後に任せる仕事と勤務条件を具体化した。
  • 本人の在留資格・就労範囲と予定の業務が合うか確認した。
  • 必要な申請、資料の準備、許可の確認を誰が担うか決めた。
  • 条件を書面等で明示し、本人と内容を確認した。
  • 必要な許可を得てから勤務を始める日程にした。
  • 本人の届出を案内し、会社の雇入れ時の届出・保険手続きも担当者と期限を確認した。

外国人雇用状況の届出や社会保険には、それぞれ対象と期限があります。勤務開始後に考え始めるのではなく、採用前から準備しておきます。外国人雇用状況の届出、外国人雇用時の社会保険手続き

次回は、受け入れ後の教え方や相談体制、企業の実例、実際に働いてもらって見えてきた課題を扱います。一時帰国についても、制度上必要な帰国と本人の希望による帰国を分け、休暇・復帰・再入国の確認へつなげます。

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※資料は2026年10月30日に確認しました。社内の手順や説明例は実務上の整理です。在留資格・業務・申請区分等で必要な手続きは異なります。個別の就労可否は地方出入国在留管理局等へ、雇用や労働条件の手続きはハローワーク・労働基準監督署等へ確認してください。

出典・確認した公的情報

編集:シャイニー / 制度の確認: