外国人社員の住まい、会社はどこまで支える?社宅・家賃・退去時の確認

キッチンの設備を確認する女性と資料を持つ案内担当者

こんな方へ外国人社員の部屋探しや社宅の手続きを担当する企業の方へ

外国人社員の採用が決まり、「部屋は本人に探してもらうか、会社で借りるか」と迷うことがあります。会社が借り上げると入居までの調整を進めやすくなりますが、家賃の分け方や退職時の明渡しまで決めておかないと、入社後に本人も会社も困ります。

住まいをどう支えるかは、本人が今どこに住んでいるか、在留資格に応じた支援があるか、誰が物件を契約するかで変わります。採用前から退去まで、会社が確認する順番に沿って整理します。

この記事のポイント

  • 本人契約、会社の借り上げ、会社所有の社宅で、契約相手と費用負担を整理する。
  • 特定技能1号では、住居の確保が支援計画に含まれる。保証料や本人から徴収できる住居費は、契約の形に応じて確認する。
  • 入社前に毎月の負担と支払方法を伝え、入居時の部屋の状態を記録する。退職日と明渡し日はそれぞれ確かめる。
この記事の目次
  1. 会社に求められる支援は、在留資格から確認する
  2. 本人契約、借り上げ、会社所有の社宅を分ける
  3. 特定技能1号で住居を確保するとき
  4. 家賃・初期費用・給与からの控除を説明する
  5. 入居するときに、鍵・設備・連絡先を一緒に確認する
  6. 退職日と明渡し日をそれぞれ決める
  7. シャイニーの視点
  8. 採用前から退去までの確認リスト

会社に求められる支援は、在留資格から確認する

最初に、本人が今の住まいに住み続けたいか、転居が必要かを聞きます。日本で賃貸契約を続けている人なら、勤務地からの通勤を確かめるだけで済むこともあります。来日と入社が近い人には、物件が決まる時期と入居可能日を確認し、空白期間があればその間の滞在先も相談します。

厚生労働省の外国人雇用管理指針では、国外に住む人を募集する場合、住居の確保などの募集条件を事前に明らかにするよう努めることが示されています。会社が案内できること、本人が行うこと、費用を負担する人を伝えておけば、「社宅が付くと思っていた」という行き違いを減らせます。 厚生労働省「外国人雇用管理指針」

会社が行うべき手続きは、対象となる在留資格や受入れ制度を確認します。特定技能1号の受入れでは、支援計画を作成し、住居の確保や生活に必要な契約の支援を行う必要があります。支援は登録支援機関に委託できます。委託先と、物件探し、契約への同行、入居後の連絡の担当をすり合わせておきましょう。 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」

本人契約、借り上げ、会社所有の社宅を分ける

求人で「社宅あり」と案内する前に、実際の契約名義を確かめます。契約を結ぶ人が分かれば、家賃を支払う人、更新や解約を申し出る人、修繕の連絡先も整理できます。

住まいの形会社と本人が確認すること
本人が貸主と契約本人が契約・解約の窓口。会社が物件紹介、書類の案内、緊急連絡先、保証などのどこを担当するか決める
会社が物件を借り上げる会社が貸主との窓口。社員が入居することを伝え、転貸の可否、入居者の登録や変更、同居の条件を貸主・管理会社に確かめる。本人とは利用条件を取り決める
会社が所有する社宅を提供本人と入居条件を取り決める。本人負担額、入居できる期間、設備の修繕先、退職や転勤で利用を終える場合の手続きを示す

物件を探すときは、家賃の上限に加え、通勤時間、入居可能日、希望する部屋の形、同居予定の人数などを本人と確認します。借り上げや社宅の場合も、本人が説明を受けて入居を選べるようにします。本人契約に住宅手当を出すなら、金額、支給条件、開始・終了の時期も知らせましょう。

特定技能1号で住居を確保するとき

本人が借りる場合は、物件や不動産会社の情報を伝え、必要に応じて手続きに同行します。契約に連帯保証人が必要で適当な人がいない場合、受入れ機関等が保証人になるか、利用できる家賃債務保証会社を確保して緊急連絡先を引き受ける方法があります。本人の合意を得て、会社が借り上げた物件や所有する社宅を提供する方法もあります。

支援の運用要領では、居室の広さは原則として1人当たり7.5㎡以上です。2人で住むなら、原則として居室の面積が合わせて15㎡以上必要です。間取り図で居室の面積と入居人数を確認します。技能実習2号等からの移行にあたり、申請時点で受入れ機関が確保済みの社宅等に本人が引き続き住むことを希望する場合などには、寝室1人当たり4.5㎡以上を要件とする例外があります。同等の仕事をする日本人との住居面の処遇も確認します。

すでに適切な住居があり、客観的に支援が不要な場合は、住居確保の支援を省けることがあります。その住居から出ざるを得なくなったときは、新しい住居の確保に必要な支援を行います。電気・ガス・水道などを本人が契約する際は、必要書類や窓口を案内し、状況に応じて手続きを手伝います。 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」

家賃・初期費用・給与からの控除を説明する

費用は、入居前に払うもの、毎月払うもの、退去時に精算するものに分けます。家賃と共益費、電気・ガス・水道、家具や家電、インターネット代のうち、何が月額に含まれ、何が別途かを一枚にまとめると、本人も手取りから生活費を見積もれます。

特定技能の住居費で確認すること

本人契約の場合、敷金や礼金は本人負担が基本です。会社が全部または一部を負担すると合意することもできます。特定技能1号の住居確保の支援として家賃債務保証会社を利用する場合の保証料は、受入れ機関等が負担します。敷金・礼金と保証料を分けて確認しましょう。 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」

会社が借り上げた住居で本人から住居費を受け取る場合、算定の基礎は家賃と管理費・共益費などです。敷金、礼金、保証金、仲介手数料、更新手数料、途中解約金などを本人に転嫁することはできません。たとえば家賃5万6,000円、共益費4,000円の物件に特定技能の社員2人が入居する場合、住居費は1人につき月3万円以内です。会社所有の物件では、建設・改築に要した費用、耐用年数、入居人数などから合理的な額を算定します。水道光熱費などにも費用ごとの基準があるので、額と内訳を説明して本人の合意を得ます。 出入国在留管理庁「特定技能運用要領」

家賃を給与から差し引くとき

家賃を本人から別途受け取るか、給与から控除するかをあらかじめ伝えます。賃金は全額払いが原則です。社宅使用料など、法定控除以外を天引きするには、事業場の過半数労働組合、そのような組合がなければ労働者の過半数代表者との書面による労使協定が必要です。会社が本人に請求する根拠と金額を確かめ、協定で定めた範囲で控除して給与明細に示します。特定技能の定期費用を天引きする場合は、雇用条件書にも名目と額を明記します。 厚生労働省「労働条件・職場環境に関するルール」 出入国在留管理庁「特定技能運用要領」

入居するときに、鍵・設備・連絡先を一緒に確認する

契約が済んだら、入居日と鍵を受け取る場所を決めます。入居時に床・壁・設備の傷や故障を本人と確認し、日付の分かる写真とチェック表を残して双方で共有します。写真があれば、退去時に以前からあった傷か、入居後に生じた傷かを確認できます。

本人に渡す案内には、修理や水漏れが起きたときの窓口、ごみの出し方、共用部の使い方、契約の変更や解約を相談する先を記します。国土交通省の多言語の部屋探しガイドや入退去の確認リストも使えます。家賃の支払日、緊急連絡先、分からないときの相談先は、本人が理解しやすい言語で一緒に確認しましょう。 国土交通省「外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について」

退職日と明渡し日をそれぞれ決める

本人名義の賃貸住宅であれば、退職後に住み続けるかは、本人と貸主との契約に沿って決まります。会社が保証人や緊急連絡先を引き受けている場合、変更や解除に必要な手続きを貸主や保証会社に確認します。借り上げや会社所有の社宅では、会社と本人の入居条件、会社と貸主の契約を確認し、退職日・引っ越し日・鍵の返却日を調整します。解約を誰が何日前までに申し出るかも、契約書で確かめます。 国土交通省「民間賃貸住宅」

窓辺で並び、手元の資料を確認する2人
退職日と住まいを明け渡す日は、本人と早めにすり合わせます。

特定技能1号では、離職が決まった後も、特定技能雇用契約が続いている間は必要な住居確保の支援を行います。契約終了後、次の勤務先が決まるまでに住まいが必要な場合には、直近の受入れ機関等が住居確保を手伝うなど、生活が続けられるよう配慮することが望ましいとされています。退職の申出を受けたら、本人と早めに転居先や日程を相談しておきましょう。 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」

退去の立会いでは、入居時の写真を見ながら、修繕が必要な箇所と費用の内訳を確かめます。賃貸借では、普通に使って生じた傷みや経年変化は原状回復の負担から原則として除かれます。清掃費などの特約がある場合は、条項と実際に請求されている内容を確認します。会社が借り上げている場合は、貸主から会社への請求と、会社が本人に請求できる範囲をそれぞれ確認し、給与の処理と精算を分けて整理します。 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

採用前から退去までの確認リスト

  • 採用前に、在留資格による支援の範囲、本人の住居の希望、契約名義と担当者を確認した。
  • 入社前に、初期費用、毎月の本人負担、支払方法、給与控除を行う場合の協定と書面を確認した。
  • 入居時に、室内の状態と鍵の本数を記録し、修理と緊急時の窓口を伝えた。
  • 退職や転勤が決まったら、本人と明渡し日、解約の連絡、次の住居への支援、立会いと精算の手順を確認する。

住居以外の受け入れ準備は、関連記事「外国人社員を迎えた職場で」で整理しています。住まいの担当者から配属先へ、入社日や通勤に必要な情報を共有しておきましょう。

※公的資料は2026年11月6日に確認しました。家賃の計算と求人票の文例は説明用です。住居の利用終了や費用に争いがある場合は、契約書を持って関係機関や専門家に相談してください。

出典・確認した公的情報

編集:シャイニー / 制度の確認: