外国人採用の「日本語力」、どう見極める?求人票と面接で確かめたいこと
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こんな方へ外国人採用の応募条件や面接での確認方法を考える企業の方へ
求人票の応募条件に「日本語能力試験N2以上」と書こうとしたとき、その仕事では、何を日本語でできる必要があるでしょうか。電話で用件を聞く、手順書を読む、取引先へメールを返す。同じ職場でも、求める力は担当業務によって変わります。
資格の有無は判断材料の一つですが、仕事でのやり取りまで一度に分かるものではありません。この記事では、外国人を正社員として採用する企業が、日本語の応募条件を決め、求人票と面接で確認する方法を考えます。在留資格に関する制度上の要件も、別に確認します。
この記事のポイント
- 日本語の資格・試験結果と、募集する仕事で必要なやり取りを分けて確認する。
- 「日常会話ができる」だけで終わらせず、相手・場面・読む資料・書く文章を具体化する。
- 面接では仕事に沿った短い課題を使い、伝え方や職場の支援も含めて判断する。
この記事の目次
最初に「誰と、何を、日本語で行うか」を書き出す
必要な日本語力を考えるときは、実際に配属する職場の担当者へ聞きます。「日本語ができる人がいい」だけでは、採用担当者と現場で違う水準を想像しているかもしれません。
例えば、次のように整理できます。これは業務を確認するための例で、試験の級と職種を対応させた表ではありません。
| 仕事の場面 | 具体的に確認したいこと |
|---|---|
| 社内の指示を聞く | 締切、数量、注意点を理解し、不明なところを聞き返せるか |
| 顧客の用件を聞く | 相手の希望や日時などを確認し、必要に応じて担当者へ引き継げるか |
| 手順書や連絡文を読む | 日付、条件、禁止事項など、仕事に必要な情報を読み取れるか |
| メールや報告を書く | 誰に何を伝えるのかを整理し、必要事項を文章にできるか |
| チームで相談する | 困っていることや進捗を伝え、確認しながら作業を進められるか |
あわせて、どの程度の頻度で行うか、一人で判断するのか、定型文や翻訳ツールを使えるのかも整理します。入社直後から必要な力と、研修や仕事を通じて身に付けてもらう力を分けることが大切です。
JLPTの級だけでは、会話や文章の実務まで決まらない
日本語能力試験(JLPT)の公式案内は、各レベルの目安を「読む」「聞く」などの理解の面から示しています。試験結果は日本語の学習や理解の力を知る材料になりますが、合格した級だけで、電話対応や報告書作成などの実務がすべてできるとは判断できません。JLPT:N1~N5の認定の目安
2025年12月の試験から追加されたCEFRレベルの参考表示についても、公式サイトは、JLPTが測定していない「話す・書く」などの産出活動や、やり取りの能力を含まないと説明しています。表記が増えたから会話や作文の試験も加わった、と考えないようにしましょう。JLPT:CEFRレベル参考表示
例えば、書類はよく読めても、初対面の相手への電話では言葉が出にくい人もいるでしょう。反対に、業務の説明はできても、社内特有の略語には慣れていない人も考えられます。こうした違いを確かめるため、試験結果に加えて仕事に近い場面を見る、という順序が実務的です。
在留資格の要件と、自社の応募条件を分ける
会社が必要とする日本語力と、在留資格の審査で求められる言語能力の確認は、同じものではありません。自社の面接で仕事ができそうだと分かっても、それで在留資格の要件や提出資料の確認が済むわけではありません。
例えば「技術・人文知識・国際業務」で、主に言語能力を用いる翻訳・通訳などの対人業務に従事する場合、出入国在留管理庁は、業務上使用する言語についてCEFR・B2相当の能力を前提としています。すべての職種に一律の日本語要件を設けた、という意味ではありません。出入国在留管理庁:言語能力を用いる対人業務の明確化
2026年4月15日以降の申請では、所属機関がカテゴリー3・4に該当し、こうした業務を主に行う場合に、言語能力を証明する資料の提出が必要です。更新申請では、業務の変更・転職の有無などによって扱いが異なります。カテゴリー1・2でも審査中に資料を求められることがあるため、自社と応募者に適用する最新の案内を確認しましょう。出入国在留管理庁:申請案内
在留資格や分野による要件がある一方で、「外国人の正社員採用なら、どの人も同じ日本語試験の資格が必須」と一律に扱うものでもありません。対象者の資格、仕事内容、申請の種類を踏まえて確認しましょう。採用までの在留資格の確認は、関連記事でも整理しています。
求人票では「日本語を使う仕事」が伝わるようにする
試験の級を応募条件にする場合も、その仕事で日本語を使う場面を一緒に伝えると、応募する人が判断しやすくなります。「日本語が堪能」「コミュニケーションに問題がない」といった表現だけでは、どの水準を想定しているのか伝わりにくいからです。
例えば、仕事内容に合わせて次のように書けます。以下は編集部が作成した例で、すべての企業に使える条件文ではありません。
社内の作業指示を日本語で確認し、不明な点を担当者へ質問する場面があります。手順書を読んで進める業務が中心です。取引先への電話対応は担当しません。入社後は担当者と手順を確認します。
顧客対応を任せる仕事なら、その内容に置き換えます。「取引先からの電話で用件を確認し、担当者へ引き継ぐ」「定型文を使って注文内容の確認メールを作る」など、実際の担当範囲を示しましょう。
試験の合格を必須とするのか、同程度の実務上の力も確認するのかも、社内でそろえておきます。ただし、制度上必要な資格や証明がある場合に、会社の判断だけで置き換えないでください。

面接は、短い仕事の場面で確かめる
自己紹介が滑らかだったかどうかだけでは、募集する仕事の日本語力を確かめ切れません。確認したい力が決まったら、短い模擬場面や資料を用意してみます。
- 日時と数量が書かれた短い指示を示し、何をいつまでに行うか説明してもらう。
- 顧客の用件を想定した会話を行い、聞き取った内容と引継ぎ先を確認してもらう。
- 短い連絡文を読み、重要な点と、確認したい点を挙げてもらう。
- 定型的な依頼への返信を、必要事項を含めて短く書いてもらう。
これらは選考課題の例です。実際の顧客情報や社内の秘密情報は使わず、架空の短い題材を用意します。求める仕事に沿った内容と時間に絞り、候補者の作成物を実業務へ使うような運用にしないことも大切です。
見る項目も先に決めます。例えば「必要な情報が伝わったか」「分からない部分を確認したか」「数字や日付の取り違えがなかったか」です。発音や敬語の細かな違いだけを、仕事全体の適性へ広げないようにします。
厚生労働省は、公正な採用選考で、応募者の適性・能力に基づいて判断することを基本にしています。日本語の確認でも、出身国や家族の事情についての印象を採点に混ぜず、募集する職務に必要なことへ焦点を合わせましょう。厚生労働省:公正な採用選考の基本
面接官の伝え方と、入社後の支援も点検する
面接官が一度に長く質問したり、社内の略語だけで説明したりすると、何を答えればよいか伝わっていないことがあります。仕事の力を確かめる前に、質問自体が理解できているかを確認します。
質問は一つずつに分け、必要に応じて言い換えます。「分かりましたか」と聞くだけでなく、本人に要点を説明してもらう方法もあります。ただし、顧客との自然な会話に対応する力を確かめたい場合などは、何の力を見る場面かを決め、補助した内容も記録しておきましょう。
厚生労働省は、外国人との面接での日本語を考える資料や、労務管理の説明に使える多言語の用語集・例文集を公開しています。資料は、候補者の評価だけでなく、会社側の説明を見直す参考にもなります。厚生労働省:外国人材受入れ・定着モデル事業の資料
選考で「定型文があれば対応できる」「専門用語の確認が必要」と分かったなら、入社後に誰が何を教えるかにつなげます。採用担当者だけが把握して終わらず、本人と配属先の間で、担当範囲と支援の方法をそろえましょう。
募集前にそろえておきたい確認
- 日本語を使う相手・場面・資料・文章が具体的になっている。
- 入社時に必要な力と、入社後に身に付ける力を分けている。
- 在留資格の制度上の要件と、会社の応募条件をそれぞれ確認している。
- 面接で使う短い課題と、見る項目、利用できる補助を決めている。
- 求人票・採用担当者・配属先の間で、期待する仕事と支援がそろっている。
採用後の教え方や相談体制は、関連記事「外国人社員を迎えた職場で」で取り上げています。選考で確かめたことを、受け入れ準備へつなげてください。
※資料は2026年11月5日に確認しました。求人票の文面・課題・確認項目は編集部の実務上の提案で、法定の採点基準ではありません。制度上の言語能力や提出資料の要件は、対象の在留資格・業務・申請に応じて最新の公式案内を確認してください。
出典・確認した公的情報
編集:シャイニー / 制度の確認: