外国人社員の年末調整、会社は何を確認する?海外の家族と必要書類
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こんな方へ外国人社員の年末調整・海外の家族に関する申告を担当する企業の方へ
年末調整の書類を配ったものの、海外に住む家族の欄が空白のまま。「家族に送金しています」と相談されたとき、会社は何を確認すればよいのでしょうか。
外国人社員の年末調整も、国籍だけで特別な扱いが決まるものではありません。ただ、税務上の居住者の判定や、国外に住む親族の確認書類など、早めに説明しておきたい点があります。この記事では、2026年分の年末調整に向け、企業の給与・労務担当者が確認する順序を整理します。
この記事のポイント
- 社員本人が年末調整の対象になるかと、海外の家族が控除の対象になるかを分けて確認する。
- 国外の親族に関する控除は、家族の年齢・関係・所得等に加え、親族関係や送金を確認する書類が必要になる。
- 2026年分の改正と、書類の対象年に注意。必要書類と相談先を、本人が理解できる形で早めに案内する。
この記事の目次
まず、社員本人が年末調整の対象になるかを確認
年末調整は、給与から源泉徴収した所得税等と、その年に納めるべき税額を精算する手続きです。一般には、扶養控除等申告書を提出し、年間を通じて勤務している人や、年の途中で入社して年末まで勤務している人などが対象です。給与総額が2,000万円を超える人など、対象外となる場合もあります。国税庁:年末調整の対象となる人
外国人社員では、先に所得税法上の「居住者」か「非居住者」かも確認します。国内に住所があるか、引き続き1年以上居所があるかなどで判定し、住所は生活の本拠がどこかという客観的な事情で考えます。在留資格の名称や、在留カードの期限だけを、そのまま税務上の区分に置き換えないでください。国税庁:居住者と非居住者の区分
「来日して1年たっていないから、全員が非居住者」とも限りません。入社時期、雇用契約や生活の状況などを整理し、判断しにくい場合は税務署や税理士へ確認します。以下の国外親族の説明は、日本で働く居住者である社員が控除を受ける場面を中心にしています。
海外の家族は、一人ずつ確認する
「海外に家族がいる」と聞いたら、控除を申告する親族について、本人との続柄、年齢、居住地、生計や所得の状況を確かめます。外国籍であることと、家族が国外に居住していることは別の話です。日本人社員が国外の親族について申告する場合にも、同じ制度の確認が必要です。
所得税の扶養控除では、配偶者以外の一定の親族で、生計を一にすることなどが要件です。配偶者控除や特定親族特別控除は別に判定します。また、所得税の控除と、健康保険の被扶養者認定を同じ申請だと思わないよう、案内を分けておきましょう。
国外に住む非居住者の親族について、扶養控除の年齢等の条件は次のように分かれます。年齢は通常、その年の12月31日時点で判定します。表の条件だけで控除が決まるわけではなく、所得・生計などの要件や確認書類も必要です。国税庁:扶養控除
| 親族の年齢 | 国外居住親族の扶養控除で確認すること |
|---|---|
| 16歳未満 | 所得税の扶養控除の対象にはならない。別の申告欄や障害者控除等は、該当する制度で確認する |
| 16歳以上30歳未満 | 生計・所得等の要件と、親族関係書類・送金関係書類を確認する |
| 30歳以上70歳未満 | 留学により国内に住所・居所がなくなった人、障害者、又は社員から年間38万円以上の生活費・教育費の支払いを受けた人のいずれかに該当するか確認する |
| 70歳以上 | 生計・所得等の要件と、親族関係書類・送金関係書類を確認する |
「海外の家族は全員、年間38万円を送ればよい」という制度ではありません。 38万円の基準を使う区分かどうかと、ほかの要件を分けて確認します。配偶者にこの扶養親族の年齢表をそのまま当てはめないことも大切です。
親族関係と送金は、別の書類で確かめる
家族であることを確認する書類と、生活費等の支払いを確認する書類は役割が異なります。国外居住親族の控除では、該当する書類を会社へ提出又は提示してもらいます。国税庁:非居住者である親族の扶養控除等の案内
- 親族関係書類:外国政府等が発行した、社員と親族との関係を確認できる書類など。国や書類によって必要な組合せを確認する。
- 送金関係書類:その年に、社員から親族各人へ生活費・教育費の支払いをしたことを確認できる金融機関等の書類など。
- 区分に応じた追加書類:留学ビザ等書類や、年間38万円以上の支払いを確認する書類など。
外国語の確認書類には翻訳文も必要です。また、原本の提出・提示が必要なものと、写しでも認められるものがあるため、全部を「スマートフォンの写真だけでよい」と案内しないでください。具体的な書類の扱いは、国税庁の最新Q&Aと照合します。
例えば、母と弟の生活費をまとめて母へ送っている場合、その送金の記録を、そのまま弟の分の送金関係書類にも使うことはできません。各人への支払いが確認できるかが重要です。現金で渡したという本人の申立書だけでも、法定の送金関係書類には該当しません。国税庁:国外居住親族の控除Q&A
必要書類を説明するときは、「誰について」「何を確認するために」「どの年の書類を」と分けて伝えます。家族一覧だけ、送金総額だけで判断せず、申告する人ごとに確認できる状態にしましょう。

2026年分は、昨年の基準と様式を流用しない
2026年分には、基礎控除や給与所得控除、扶養親族等の所得要件などの改正があります。例えば、扶養親族の合計所得金額の要件は、12月1日施行・2026年分からの適用では62万円以下となります。年末調整の説明に、改正前の58万円という数字をそのまま使わないよう注意してください。国税庁:2026年分の主な変更点
「所得」と「給与収入」も同じ金額ではありません。国外親族のどの所得を判定に含めるかなど、条件によって確認が必要な点は、自己判断で単純に足し合わせず、担当者から専門家へ相談します。
配布する申告書にも、対象年が記載されています。2026年分の年末調整と、翌年最初の給与に向けた2027年分の扶養控除等申告書を、同じ時期に回収する職場もあるでしょう。ファイル名と提出案内に対象年と用途を書き、混同を防ぎます。これは社内の整理方法の提案です。
中途入社の前職分や、不足書類も早めに確認
今年入社した社員には、入社前にその年中の給与があったかを確認します。前の勤務先へ扶養控除等申告書を提出して受け取った給与がある場合は、源泉徴収票などで確認して年末調整に含めます。確認できない場合は会社で年末調整できず、本人が確定申告で精算することになります。国税庁:中途就職者の年末調整
海外の勤務先からの給与がある場合も、日本国内の前職給与と同じように、機械的に合算してよいとは限りません。居住者区分や課税対象となる範囲などを整理して、税務署や税理士へ確認してください。
書類がそろわないと分かったら、未確認の内容を推測で埋めず、本人へ不足を具体的に伝えます。「年末調整が全部できない場合」と「特定の控除を反映できない場合」は区別が必要です。期限やその後の申告方法も含め、給与担当者だけで抱えずに確認しましょう。
本人への案内は、目的と必要書類を分けて伝える
国税庁は、2026年分の扶養控除等申告書の外国語訳や、国外居住親族の控除に関する多言語の説明を公開しています。本人が使いやすい言語を確認し、日本語の正式な様式と見比べる補助にできます。外国語訳の掲載ページにも改正の注意があるため、古い保存ファイルだけで案内を終えないでください。国税庁:2026年分扶養控除等申告書の外国語訳
社内向けには、例えば次のように案内を分けられます。これは法定文面ではなく、説明の組み立て例です。
今年の給与にかかる税金を確認するための手続きです。海外に住む家族について税金の控除を申告したい方は、担当者へ相談してください。申告する家族との関係や、その年に生活費などを支払ったことが分かる書類を確認します。必要な書類は家族の状況によって変わります。
この説明に、社内の提出期限、提出方法、質問できる担当者を添えます。控除を受ければ必ず還付になる、家族がいれば必ず税額が下がる、と約束しないことも大切です。
配布前に、会社でそろえておきたいこと
- 今年の年末調整の対象者と、中途入社・出国等の確認が必要な人を整理する。
- 2026年分の改正に対応した様式・給与計算の設定・案内を確認する。
- 海外の家族を申告する場合の書類と、区分別の確認方法を準備する。
- 社内期限、相談先、不足がある場合の対応と情報の管理方法を決める。
給与や採用条件の説明を外部へ依頼していても、自社の担当者が本人の相談先を把握しておくことが大切です。紹介会社や支援機関へ任せる範囲については、関連記事で整理しています。
※2026年11月5日に公的資料を確認し、2026年分の年末調整に向けて整理しました。申告例や社内の案内方法は編集部の提案です。控除や課税範囲は個別の事情で異なるため、不明点は税務署や税理士へ確認してください。
出典・確認した公的情報
編集:シャイニー / 制度の確認: